龍谷大学 先端理工学部応用化学課程/理工学部物質化学科

河内岳大 教授

取り組んでおられるテーマは?

機能構築の最小単位である原子・分子を精密に連結する技術を駆使して、新しい高分子を合成しています。
プラスチックをはじめとして、私たちの身の回りには様々な高分子材料が溢れています。また、私たちの身体にも、タンパク質やDNAなどの生体高分子が含まれ、生命機能の根幹を成しています。そもそも、なぜ「高」分子なのでしょうか。高分子とは、多数の原子・分子がつながったものですが、この「つながり」により現れてくる様々な特性があります。例えば、飽和炭化水素の場合、炭素数が1のメタンはどれだけ集めてもガスですが、炭素数1000を超えてつなげたポリエチレンは、柔軟で丈夫なポリ袋になります。また、DNAはヌクレオチドが一次元につながったものですが、このヌクレオチドの並び順によって情報を記録しています。ただ単に構成物質を集めただけでは意味がなく、「つなげる」ことが重要なのです。私の研究室では、この「つなげる」ことを主題として研究を進めています。

現在の研究テーマを始めるきっかけは?
化学を選んだきっかけは、「物質をつくる」ということに興味を持ったからですね。高分子を選んだのは、身の回りに溢れる材料であったからです。実際に調査したわけではありませんが、化学関連企業の多くが高分子を扱っているとも考えていました。この分野をテーマにしているのは、やはりこれまで導いていただいた先生方からの影響が大きいですね。
指導する上で気をつけられていることは何ですか?
「学生の皆さんにとって、最後の教育機関である」ということです。大学院修了をもって社会にはばたくわけですが、テストの点が良い人が必ずしも活躍するわけではありません。テストの答えは教科書に書いてありますが、社会で直面する問題がそんな単純であるはずがありません。科学的思考法、物事を俯瞰する能力、解析力、決断力、コミュニケーション能力、チームワークなど、問題解決には様々な能力が要求されるでしょう。物質化学科での研究活動は、学生の皆さんにとって初めての自己解決を迫られる課題になるのではないでしょうか。最先端の研究を通じて分野によらない様々な応用力を身につけ、社会で活躍して欲しいと思っています。

研究成果は学術論文として世界に発信しますが、まれに海外の研究者から、「あなたの研究には驚いた!」というメールをいただきます。将来の展望といっていいかどうかわかりませんが、世界が驚く研究を行いたいと思っています。
実用化についてですが、私は基礎研究を重視しています。基礎であるほうが様々な分野に応用できますので、シーズとして適していると思っています。「つなげる」ことが主題の研究室ですが、研究についても多くの分野外研究者や企業の皆様と積極的に連携し、その幅を広げていきたいですね。

瀬田キャンパスは閑静で、学問と研究に打ち込む環境が整っています。好きな化学をとことん学んでみませんか?

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