龍谷大学 先端理工学部応用化学課程/理工学部物質化学科

大柳満之 教授

取り組んでおられるテーマは?

NASAとカリフォルニア大学との共同論文を発表済みです。スペースシャトルのウイングに使う素材の研究をやっています。
現在、水素の吸蔵合金の研究には力を入れています。
放電プラズマ焼結(焼結が低温度で短時間で行える方法です。)
焼結するときのパルス電流が、焼結にどのように物質移動に影響を与えているのかを基礎的研究ではあるが研究している。

世界で初めて実現した研究があると聞きましたが・・・

SiCは焼結助剤がなければ焼結しないが、助剤なしで従来言われている温度よりも低温で99.5%以上の緻密さで焼結に成功しました。
助剤なしで焼結できたという点では世界初ですね。平滑平面。表面荒さで数nm。
触針法で4nm(4mのストッパーで4nm程度のRa(表面荒さ))が実現されました。
これによって、レンズの金型への応用ができますし、CVDしかできなかったものを焼結でできる技術を現在確立中です。
本質的なものを理解しなければ、実用化の際に、なぜそれが起こるのかという原因解明に結びつかないので、非常に有効です。
現在、RECセンター長、学長補佐、私大コンソーシアムの担当も兼ねており、非常に忙しい中で学生の指導に当たっている。

現在の研究テーマを始めるきっかけは?
水素吸蔵は将来のエネルギー問題解決を目指して始めました。
エネルギー問題で戦争は起こりえます。そのためにはエネルギーを潤沢に確保する必要があります。
しかも自然環境負荷を与えないものを考えなければならない中で、水素と酸素を燃焼させて水ができる課程でエネルギーを得る燃料電池が有用と思いました。
そのためには水素の移動媒体・貯蔵媒体が必要になってきますよね。
そのなかで、太陽エネルギーを電気エネルギーにかえる研究もあれば、その電気エネルギーを使って、水素を造る研究もあります。
その水素をどうやって貯蔵する部分のどうやってたくさん供給するかの研究をしています。
現在、アメリカのエネルギー省が必死に、大プロジェクトとして行っている。
それをサーベイしなから、龍大の独自のやり方で解決しようとしています。
それで世界貢献を果たそうとしているんです。
宇宙は一つのロマンがあって、そこに行くために乗り物があり、その大気圏突入の為の超耐熱性材料を研究しています。
その材料をエネルギーを使わずに造り出すプロセスがあればよい。その研究を行っています。
化学を始めるきっかけは?
元々は高校の先生になる予定だったんです。教科として理科を選びました。大学生の時は親から授業料を出してもらっているので、一生懸命勉強しなくてはならないという思いでやっていたところから、研究の世界にどっぷりと浸かって、はまってしまいました。
僧侶であるので、元々滋賀に戻ってくるつもりだったんです。
私の場合は、国内のみならず外国にも支えてくれる人がいるということが大きいと思います。そういうご縁の中で今の研究がそういう方向に進んでいる。
指導する上で気をつけられていることは何ですか?
チームワークで行うように指導しています。実践力を主において指導はしていません。私は即実践力になる人を育てるという視点では考えていないんです。
研究は人格形成での道具でしかないですから、大学でやることを将来の研究でやるかどうかは問題ではないんです。
研究をとおしてどれだけ壁を乗り越えたかが必要だと思っています。
成功体験をいかに行えるかが重要で、大柳研究室では道具としての「研究」は、世界最先端の一流の材料が用意されています。
それを遂行することが目的ではなくて、そういう道具と通して、人格形成する。あるいは、大学人としての教養を身につける。そういう人を世の中に出すことが必要であると考えています。
そのために、研究室で、切磋琢磨することはもちろんのこと、強調していくことが大事ですね。そういう視点が大事になってきます。
そういうところからこういういい仕事ができるんですよ。
Universityというものは、元々哲学グループから始まっています。人生の問題を議論し合う事から、形ではなくて実践するということが大切。
ですから、そのためのリーダーは一流でなくてはならない。というポリシーをもっています。
研究活動という点では一緒ですが、人生を語り合える3年間を過ごせる研究室であるように気をつけています。

世界最先端の研究が行えるということです。NASAとカリフォルニア大学との共同研究を行っているんです。

目標と夢を持ってほしい。夢を実現するためには、いい指導者に恵まれることが必要です。
その意味でも、龍谷大学はグローバルなレベルで地球環境やエネルギーに目を向けている大学です。
「世界の中の龍谷大学」が世界貢献できるかという視点を常に持っています。高等教育機関として。
一神教(価値観が一つ)ではない、仏教(縁起に基づく)を学びながら、様々な分野(経済・経営・理工学)で活躍できる人材を排出できる大学だと思います。またそのための育成プランを持ちさらに実現できる数少ない大学です。その中で理工学部は工業開発展開ができる人を排出してきました。(地球規模でいろんなことを考える視点・夢・目標をもつことが大事)
そのためにはこれからさらにのびてくるであろう龍谷大学にぜひ来てほしいと思います。
争わない世界観を持ちながら、夢と目標と希望を実現させるために
研究室で世界貢献をしましょう!!

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