ポリテクニク大学の大学院に留学してみたいという学生さんへ

2月16日

 最近は日本も国際化ということでたくさんの日本人が海外で勉強しています。アメリカは基本的には自分で選択するということを重視しますのでいろいろなパターンの大学院を選択できます。ただし卒業後の仕事や給料はかなり違いますので注意が必要です。私は現在ニューヨークポリテクニク大学にいますので、もしここの大学院に入学したいという学生さんがいればバックアップが可能です。一度検討してみてください。ただし私の専門分野が高分子ですので知っている先生の関係から高分子を専攻している学生さんに限ります。

【大学院のコース】

1.修士2年:講義だけ受けて単位を取得して修士を得る。この場合は研究開発よりも化学を知っているマネージャーをめざす人向け。

2.修士2年:講義+研究。日本では最も一般的なケースだが、アメリカではあまり人気のないコース。講義が多いので研究も必ずしも進まないので研究のスキルが中途半端で就職も難しく会社に入ったとしてもPHD取得者のもとでのアシスタント程度の仕事になることが多い。

3.博士コース4,5年:最も一般的なコース。アメリカで大学院に進もうとするならとりえずこのコースを選ぶのがベター。2,3年して気が変わったりいい就職先が見つかったという場合は途中で修士だけ取得して卒業も可能。アメリカでは博士の学位を持っていると断然有利。(多分日本の外資系も同じ状況だと思います)就職も有利ですし、給料がけた違いにいい。

【入学するために必要なもの】

1.Tofle(トフル)である程度のスコアを得る。750点満点で500から600点はあれば何とかなるということです。(入学するためにはこの程度ですがこちらで授業を受けなければなりませんので英語はできるならたくさん勉強しておくほうがいいでしょう。語学留学ではありませんので会話のできる程度の語学力が必要と思います。)試験対策をして何回かトライすればこれぐらいの点はクリアできるのではないかということです。

2.GRE(学科試験)を受ける。大学独自で試験をしていませんので共通試験のGREを受けることになります。日本でも1年に何回か行われているようですし、アメリカでは毎月行われているようです。平均点以上あればまずまずということです。試験は英語・数学・ジェネラルと化学ですが試験対策の問題集などは市販されていますので購入できます。ここでも最大の難関は英語ということでアメリカ人でも少しむずかしめの問題ということですので日常会話程度では語彙が足りなくてニューヨークタイムズなどの新聞を辞書なしで読める力が必要なようです。GREは何回でも受けられますが大学への書類提出のときに全てのスコアが行ってしまうそうであまり悪い点数のスコアは残さないほうがいいようです。

3.推薦書。通常は2通いるようです。ポリテクニク大学の場合ですと私がこの大学の先生にお願いすることが可能です。もちろん高分子を専門にする数人しか知りませんが。

【セメスターと書類提出先】

 アメリカでは通常新学期が9月から始まります。9月から1月始めのFall semesterと1月終わりから5月までのSpring semesterです。ポリテクニク大学ではSpring semesterからの入学も可能なようです。9月入学をする場合は前年12月に書類を提出し次の年の4月に大学から入学許可証が来て5月に入学の意思を伝え、9月から新学期スタートとなるようです。学部をでてすぐに来るのが時間のロスも少なくてベターですがこちらにいる中国やインドからの学生をみていると自分の国で修士を終えてからこちらの大学院に来ているという人もたくさんいます。中には大学で選ぶのではなく例えばGross教授のところで研究したいと最初から限定できる人は直接電子メールで問い合わせて来ているようです。その方がその先生が学生さんをとるだけの予算を持っているかという情報をつかみやすいと思います。

【学費について】

 博士課程コースを選んだ大学院生についてはほとんどの場合学費免除のようです。通常払うと半期で7000ドル(80万円ぐらい?)らしいですが払っている人は稀のようです。しかし語学力とか成績によっては払わなければならないかもしれません。1年目は大学から授業料のサポートがあり、2年目は研究室の教授と交渉してサポートしてもらうという形のようです。しかし1月にクォリファイの試験があり(毎年)これで悪い点をとるとサポート打ち切りになるようです。したがって学生は一生懸命勉強しなければならないということになります。また大学院生は通常TA(teaching assistant)として学生実験の補助などをして給料をもらえます。大学によるらしいのですがポリテクニク大学では1か月で1300ドル(15万円程度)もらえるそうですので贅沢をしなければ仕送りがなくても自立して自分でアパートを借りて生活できると思います。ビザの関係からアルバイトはできませんのでアルバイトをしてお金をかせぐということは考えない方がいいと思います。

【ポリテクニク大学の研究室について】

 私がコンタクト可能な研究室は以下に限られています。日本人のスタッフの方もおられますので、ニューヨークが不安という人はそこの研究室にいけばいろいろ面倒を見てもらえるので私はお薦めします。実際私もお世話になっています。

R.Gross研究室:現在私がお世話になっている研究室です。生体触媒の研究をメインにしていてアクティビティも高く将来性もある研究課題だと思います。Gross教授もアクティビティが高くあちこちから予算をとってきてますので研究はやりやすいと思います。

岡本教授:高分子合成がメイン。慶応大学などとの共同の大きなプロジェクトが立ち上がろうとしてます。面倒見のいい先生ですのでお薦めします。

寺岡教授:高分子のカラムの研究をされてます。すこし物理化学の理論が入ってくると思います。しかし丁寧に教えてもらえると思いますので解析的な研究を希望する人にはいいと思います。

 2000年度内でしたらこちらにいる日本人の大学院生に大学案内を頼めますので本気で考えているなら一度ニューヨークに来て話を聞くことも可能です。

 アメリカで大学院に行くとすると最も考えてほしいのが日本の大学とは違うということです。何もしなくて遊んでいては卒業できません。自分への投資、自分のキャリアアップという考えがはっきりしていますので自分から積極的に行動することが必要です。

【ニューヨークでの生活について】

 かなり治安がよくなったと言われますが日本に比べたら犯罪が多いのは事実です。注意は必要ですがたくさんの日本人がニューヨークで学んだり仕事してますので過度に神経質になる必要はないと思います。大学はブルックリンにありますがマンハッタンから地下鉄でも2駅目ですしボローホール(区役所)も近くかなりにぎやかな所です。都心部にありますので交通の便や食事をするところもたくさんあるので心配は要りません。アパートを借りるとするとお金に余裕があればマンハッタンでもいいですしブルックリンやクィーンズにもいいところがあります。Studio(日本でいう1ベッドルーム)ですと1か月800ドルぐらいはするかもしれません。マンハッタンですと場所によりますが1000ドルを超えると思います。あまり安いところを選ぶと設備が悪かったり治安が悪かったりしますのである程度の支出は覚悟したほうがいいでしょう。(詳しいことは書ききれませんので相談にのれます)

【卒業後の就職について】

日本に帰る場合:基本的には中途採用になると思います。しかし英語ができるというスキルがありますので会社によっては有利な条件の場合もあると思います。外資系で日本に拠点のある会社もいいかもしれません。

アメリカに残る場合:この場合は博士の学位をとってから残るのが断然有利だと思います。ただし外国人にはビザの問題が付きまといますのでHビザを発行してくれる会社を探さなければならないことになります。