龍谷大学理工学部物質化学科
中沖研究室

  日本私立大学連盟の”大学の教育・授業を考える
    ワークショップ”に参加しました。
    (7月28−30日:浜松)

        

           

 日本私立大学連盟による"大学の教育・授業を考えるワークショップ"が浜松グランドホテルで7月28−30日の2泊3日で開催された。全国の私立大学から理科系、文科系を問わず91名が集まった。たいていの方が今年度教務関係の委員をされているようであった。

浜松グランドホテルでの全体討議会場
 このような会が企画された背景には大学が研究にかたよりすぎていて、講義教育を軽視しがちであることに対する反省が根底にあるのではないかと考える。この会合での重要なキーワードとして"FDの理念"が挙げられる。FDとは何か?参加者の中からも冗談でフロッピーディスクのことかと思ったという声が聞かれたが(私も最初はそう思った)、FDとはFaculty Developmentの略で学部としての発展、つまりは教員集団の能力開発ということらしい。このことに対して様々な取り組みがあるが、もっとも関心をもたれていることが授業改善である。すなわち大学の授業はつまらない、わからないといった事に対して、そのまま放置するのではなく教員の取り組みのあり方を検討するものである。授業アンケートなども、この参考資料として使われている。その他にも問題点が多々あるが今回のワークショップに参加して気がついたことについて以下に列挙する。
1)大学での単位について:1週間分の時間(平日8時間*5日+土曜日5時間=45時間)を1単位として必要な時間数とし、半期で15週間15単位、1年で30単位、4年で120単位が目安。
2)授業時間について:1単位45時間のうち15時間は授業で消化し、残りの30時間は学生の教室外での学習時間。(実際にアメリカでは1時間の講義に対して2時間分の準備と課題が課されるらしい)
3)履修単位の上限について:龍大では上限30単位までの登録しか認められていないが、これは上記の理由からで、実際には1週間を講義で埋め尽くすことが可能ではあるが本来の自宅学習を考えると物理的に無理なためである。
4)授業アンケートの結果:履修者が少ないほど(小人数)よい。明快な授業内容、よく聞き取れる声、教員の熱意。板書が読みにくいという意見が多かった。―>高校まではノートをみればわかるようになっている。
5)授業評価:学生のための授業改善が最大の目的(教員の評価ではない)。単位を取りやすい教員の授業評価が高い。若手教員ほど評価が高い。
6)授業のやり方について:教員相互に授業を参観し評価しあう。大学院学生の時は研究ばかりであり、講義教育のやり方など全く考慮されていない。将来教員になり講義を担当する者の大多数が、大学院のカリキュラムを経てくるわけなので、カリキュラムに教育(授業のやり方を含む)を組み込んだほうがいいのではないか?
7)教育と研究について:どちらがかけてもダメ。学部の教育でも研究活動の裏づけが必要。大学院ではさらに必要性が増す。研究活動と教育活動は不可分であり、調和させてはじめて高等教育機関といえる。研究業績を教育に生かす。
8)高校教育と大学教育について:学習項目が中学から高校へ、高校から大学へシフトしている。高校で理科は2科目の選択でいいので物理をとらない学生が多く入学してくるので補習授業またはクラス分けして対応している。大学入学がゴールという考え方を変える必要がある。入りやすく出にくい大学を目指す。(単位認定を厳しく、宿題を課して遊ばせないようにする)−>大学は勉強をするところと認識させる。
9)入試について:私大の大学入試で化学か物理の1科目選択にしている大学が多いが、物理を高校で履修しないのは受験として絶対必要ではないということが大きい。入試に化学と物理の両方を課すと受験生の減少を招き、私大経営にかかわる可能性があるので、容易にできないところがジレンマ。
10)平成15年から実施の新学習指導要領について:情報と外国語が必修。理科の標準単位数は2科目。(基礎理科、理科総合A、理科総合Bのうち1科目選択に加えて従来の化学T、化学U、物理T・・などから1科目選択)教科内容も中学から高校へかなりの項目が移行される。−>大学のカリキュラムにしわ寄せがくる。ゆとり教育と技術立国が相いれていない。